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- Q 型材質の選び方を知りたい。 A 抜き型のパンチ、ダイを例として材質選定を考えてみます。パンチ、ダイに使われる材質を並べてみます。 プリハードン鋼(HPM)→炭素工具鋼(SK3)→特殊工具鋼(SKS3)→ダイス鋼(SKD11)→高速度鋼(ハイス鋼、SKH51)→超硬合金(V30) 金型にたずさわる人であれば、おおむねこのような並びとなると思います。鋼種は
- 【図1】および【図2】は鋳造一体構造の金型です。鋳造構造は大きな形状を1体で作れるので、鋼板で製作するのに比べ容易に作ることができます。 鋳物材質としては、少量生産で被加工材が薄板のときには、抜き、曲げ及び絞りのどの内容でも、ねずみ鋳鉄のFC250またはFC300あたりがよく使われます。金型部品としては、パンチ、ダイおよびパッド等の全てに使われています。 被加工材の板厚が厚くな
- 中、小形の金型の主要部品に使われる金型材質について説明します。 金型の構造にはいくつかの種類がありますが、よく使われている可動ストリッパ構造を例に説明します。【図1】に示した金型のプレート構成は、可動ストリッパ構造の最大構成を示しています。 (1)ホルダ SS400、S50C(S55C)、FC250、SKS3、A7075 パンチ、ダイホルダは、金型をプレス機械に取り付ける部分である
- プレス金型に使われている超硬合金は、タングステン・カーバイド(WC)とコバルト(Co)との合金です。材料の主体はWCで、Coはバインダー(接着剤)の役割をしています。Co量は5〜25%範囲でです。 超硬合金はCo量が増えると硬度は低くなります。 超硬工具協会の規格019で、V10、V20、V30、V40、V50、V60という規格があります。 V10では、Coは5%位、V30では、12%
- 今回は、鋼材以外の材料を含めて紹介します。 (1)プリハードンド鋼 プラスチック用の金型材料として開発された材料を、プレス用の金型に転用されたものです。JISには無く、メーカーブランドのものが使用されています。切削加工ができ、硬度がある程度ある材料です。40HRC程度に調質されているもので、析出硬化系(【※】参照)のものが使われています。 プリハードンド鋼は、少量生産の抜き型や曲げ型の
- 高速度工具鋼は「ハイス」と略して呼ばれます。材料記号はSKHです。 ハイスは、タングステン(W)系とモリブデン(Mo)系があります。 JISでは、JISG4403にまとめられています。 タングステン系には、おおよそ18%前後のタングステンが添加されています。モリブデンは含んでいません。種類としては、SKH2、SKH3、SKH4及びSKH10があります。このシリーズは耐摩耗性が大きいので
- 金型を構成する材料で、主にパンチ、ダイ、ストリッパおよびバッキングプレートなどの主要部分に使われる材料です。 (1)工具用炭素鋼(SK材) SK材の炭素含有量は0.6〜1.5%です。SK材は1種から7種まであります。SK1は1.3〜1.5%の炭素量、SK7は0.6〜0.7の炭素量です。SK1→SK7に向かって炭素量は減少していきます。ちなみに、炭素量が0.6%未満になると機械構造用(SC
- 金型を構成する材料で、主に構造を作る材料です。 (1)一般構造用圧延鋼材(SS材) 生材としては最も多く金型に使用されている材料です。多く使われている種類はSS400です。一般的にはSS材と呼ばれています。 SS400の数字は引張強さを表しています。SS400は400〜510N/mm2の強さを持っています。 この材料は粘りけのある軟らかい材料なので、ドリルなどによる穴加工では切削チッ
- プレス加工では、パンチ等の部品には繰り返しの荷重が働きます。 繰り返し荷重は疲労(疲れと呼ぶこともあります)破壊の原因となります。疲労破壊=疲労強度と結びつけることができます。 疲労強度に関係する要因は、次のものがあります。
- プレス金型に用いるパンチ、ダイ(工具)には加工力が働きます。その加工力は衝撃に近いものです。型材質と衝撃について考えてみます。 (1)靱(じん)性 工具には、その形状をいつまでも維持し、多くの生産ができることを期待します。それは「工具が摩耗せず、初期形状を長く維持すること」です。摩耗は工具の硬さが大きな役割を担っています。 材料の性質を考えると、硬い:摩耗しにくいイメージと、脆い(もろ
- 金型用の鋼材には、いろいろな性質が求められます。まず、その内容を理解しておきましょう。 (1)耐摩耗性 JISでは、摩耗を「相対運動する金属面の機械的引っかき、金属的粘着などが総合されて、その面が損耗する現象」と表現しています。耐摩耗性とは、このような現象が起きにくい性質といえます。 (2)耐摩耗性に影響する要因 (1)硬さの影響 耐摩耗性に影響を与える大きな要因に「硬さ」があり
- プレス機械の精度は、プレス加工製品に悪い影響を及ぼすと共に、金型寿命も短くします。プレス機械の精度には、負荷をかけない状態での静的精度と、製品を加工しているときの動的精度があります。JISでは動的精度はありません。したがって、プレス機械購入時の精度は静的精度で行われます。動的精度はメーカー独自のもので、各社で微妙に違いがあります。以下に静的精度の主なものを示します。 【図1】にプレス機械精
- 【図1】は、プレス機械のストローク送りの関係を示した図です。 プレス機械のスライドは、上死点(0°)位置から下降を始め、下死点(180°)に達します。材料送りは、戻り工程の中間点(270°)位置から材料送りがスタートして、下降工程の中間点(90°)位置で送りを完了します(標準的なタイミング)。送り装置はこのような単純な動きだけではなく、もう少し複雑な動きをします。
- プレス機械の中で最もよく使われているクランク機構プレス(クランクプレス)は,、【図1】に示すような機構となっています。 構造がシンプルであり、作りやすい機械であることから普及しています。クランク軸にはエキセン軸と呼ばれる形もありますが、最近では軸の形にこだわることは少なくなっています(プレス機械の完成度が高くなり、仕様を確認することで必要機能を満足できるため)。 もう一つの代表的な
- プレス機械のストローク長さは、仕事の内容によって使い分けられます。抜き加工では短く、10〜80mm位です。曲げや絞り加工では、製品の加工高さに注意して、ストローク長さを選ぶ必要があります。 絞り加工の例で解説します。【図1】を参照して下さい。 絞り加工はダイ面からスタートして、下死点で終わります。加工完了した製品は絞りの底部がダイ面より上に来て、取り出しが可能になります。その上に多少
- クランクプレス等の機械プレスでは、ストローク位置によって発生圧力が変化します。この点が、ストロークのどの位置でも圧力が変化しない油圧等の液圧プレスとの大きな違いです。【図1】はクランクプレスの圧力・ストローク曲線です。 スライドのストローク位置が下死点に近付くほど、発生圧力が高くなることを示しています。理論的には無限大の圧力が得られます。プレス機械の能力表示では下死点上の位置を決め、能
- プレス機械は、荷重中心(金型が仕事するときの加工力の中心)が、プレス機械スライドの中心と一致していることを前提に作られています。しかし、金型は製品形状の制約や加工方法などによって、金型中心と荷重中心を一致させることが難しい場合が多くあります。順送加工用の金型では、全てが金型中心と荷重中心がずれていると考えてよいと思います。このような金型をプレス機械に取り付けると、プレス機械中心と荷重中心がずれ
- プレス加工で、最も多く利用されているクランクプレスでは、プレス機械の能力を表すひとつに圧力能力(加圧能力)があります。圧力能力とは、プレス機械が安全に発生しうる最大圧力です。クランクプレスでは【表1】に示すように、スライドのストローク位置によって発生圧力が変化します。そのため、圧力能力は下死点上の決められた位置での圧力を示します。【表1】の例では、下死点上5mmの位置で980KN(980キロニ
- 材料の送り線高さは、【図1】に示すように、ボルスタプレート面から材料の移動位置までの高さを言います。「フィードレベル」または「パスライン」と呼ぶこともあります。 材料送り装置を用いて自動加工するプレス金型では、ダイハイトと共に送り線高さもプレス機械にあわせる必要があります。 【図2】はプレス金型の送り線高を示しています。ボルスタプレート上面(金型のダイホルダ下面)から、材料がダイ面か
- ダイハイトは2つあります。プレス機械のダイハイトと金型のダイハイトです。 ダイハイトは金型の取り付け高さに関する制約を示しています。プレス機械のダイハイトが主で、金型のダイハイトが従の関係になります。 【図1】に示したものが、プレス機械のダイハイトです。 スライド調節ねじを上限まで上げ、スライドストロークを下死点まで下げた状態のときの、ボルスタプレート上面からスライド下面までの